予防歯科については、日本ではまだまだピンと来る人は多くありません。歯の治療は問題が起きてから歯科に行くという人が殆どです。しかし、最近はお口の定期点検やクリーニングと言った予防の為に歯科医に行く人が少しずつ増えてきています。
お口の状態が健康だと美味しく物が食べられます。食べると言うことは生きる為の基本であり、お口の健康が長く続けば、年をとっても自分の歯で何でも食べられます。
日本の歯科医療は、これまで予防の為の治療に力を入れてきませんでした。保険が使えないということも理由のひとつですが、2012年に厚生労働省が「歯科口腔保険の推進に関する基本的事項」を報告しましたので、長いスパンで考える歯の予防治療が保険の対象になる日はそう遠くはないでしょう。
歯のトラブルを未然に防げば、痛むこともなく治療費を抑え、治療に長い時間を費やすこともありません。ご自分や家族の為にも、歯の予防について一緒に考えましょう。

予防歯科は、歯を正しく磨き、磨き残しや歯垢と言った汚れを残さないことが大切です。しかし、正しく磨いているつもりでも、磨かれていないことが多く、歯の汚れや細菌を完全に除去することはできません。
歯科医で行う予防歯科は、歯の正しい磨き方や普段のお手入れなどを指導し、定期的にチェックすることです。そして、必要に応じて歯石の除去やお口の中のクリーニング、フッ素塗布といった治療を施し、歯の健康を維持していきます。
歯のライフサイクルを考え、萌出（歯が生える）から始めるお子様の為の早めの対応、今からでも遅くないご自身やご家族の将来に渡る対応が大切です。






毎食後に歯磨きをしていても、磨き残しは誰でもあります。歯と歯の間や、歯並びによってどうしても磨ききれない部分に歯垢が付着し、その歯垢が徐々に歯石へと変わって行きますが、こうなると自分で取り除くことは難しくなってしまいます。


歯科衛生士が行うプロケア

超音波スケーラー
歯科衛生士は、超音波スケーラーと細かいところの歯石を除去するハンドスケーラーを上手く使い分け、歯茎より上の部分は超音波スケーラーで、歯茎の根本に近い所は少しずつ上に動かし、歯茎を傷つけることなく丁寧に歯石を除去します。

PMTC
PMTCは（プロフェッショナル メディカル トゥース クリーニング）の略で、予防医学の施術です。専用の聞きを使い歯石や歯の着色の汚れを取り除きます。
PMTCクリーニングの流れ
歯垢に反応する専用の薬液を使って磨き残しをチェックします。
スケーラーで歯石を除去します。
研磨剤や糸ようじなどを使い歯の表面の汚れを落とします。
仕上げは、歯の表面にフッ素を塗布し、歯のトリートメントや歯の表面に付いた傷などを修復する場合もあります。
時間は1時間ほどかかります。




プロービングという歯周病の検査のひとつで、歯周ポケットの深さを調べることで進行具合が分かります。また、歯茎の炎症や歯石の有無を調べ、処置を施します。







歯周病の治療は、歯科医院で行ったから大丈夫というわけではなく、歯の磨き方などその後のお手入れまで指導しセルフケアを継続すること、そして定期的にプロケアを行うことが大切です。
また、正しい生活習慣を送ることも忘れてはなりません。歯周病はその人の生活習慣により10代から始まることも考えられます。自覚症状がなく進行状況が分かりづらい為、普段のケアを続けていても、気付いたときには既に重度ということもありますので、歯茎が腫れたり出血が見られた場合は、直ぐに受診して下さい。
サインを見逃す事のないよう、普段のセルフケア、定期的なプロケアをお勧めします。





歯と体のつながりを気にする人はどれくらいいるでしょうか。
虫歯への意識は殆どの人が持っていると思いますが、恐らく歯周病について意識している人はそれほど多くないと思います。歯周病は痛みもなく進行していきますので、そのまま放置すれば体にも影響を与えることもある以外と知らないとても怖い病気です。
私たちは生活習慣病を予防するために、バランスの良い食べ物をよく噛んで食べる事を心がけます。そうした豊かな食生活には歯の健康が欠かせません。
歯周病が進行すると、歯の噛む力が低下しますので、肥満になりやすくなったり、歯周病菌がインスリンの働きを阻害し糖尿病を悪化させるということが分かってきています。糖尿病は他の病気との合併により悪化しますが、歯周病も糖尿病との関わりで悪化すると言うことが分かってきました。

長年、歯科医を受診されていない方は、一度、自分の歯の健康チェックをしてみて下さい。歯周病は、お口の中の環境や食生活だけでなく、ストレスなども影響します。歯や体の健康作りは、生活習慣を見直し、自分の歯の状態を知ることが大切です。