どんな時に歯医者に行きますか?
痛くなったら行くという歯医者のイメージは昔から変わらないと思います。痛くもないのに歯医者に行く必要はないと思うのは当然です。私も歯医者になる前はそう思っていました。
病気になった場合、先ずその病気について知ることが大切です。しかしなぜ虫歯になるのか、歯の周りの組織のことまで知っている人はどれくらいいるでしょうか。多くの人は、知っているつもりでもよくご存じ無いと思います。
今は飽食の時代です。あらゆる食べ物や飲み物が口の中に入り、歯や歯茎は常に多くの細菌と戦いながら健康を保とうとしていますが、唾液の働きが弱くなる口が渇いているときや就寝時、セルフケアが十分出来ていないとどんどん細菌に侵されます。自分では磨けていると思っていても、ちゃんと磨けているかどうかの判断は難しく、そのままそれを継続すれば、いずれ虫歯に侵されるかも知れません。
地方の車社会に例えるなら、一人一台、毎日乗らなければ生活が出来ない環境下で、どんなに気を付けて乗っていても、車の状態を隅々まで把握することは出来ません。車はコンピュータ化が進むにつれて、もう殆ど把握が不可能な状態になっていますが、乗り方次第で悪くなる所も出て来たりしますので、定期点検を受けることによって安全に乗ることが出来ますね。
車は悪くなれば買い換えれば良いかもしれませんが、歯はそういうわけにはいきません。歯も定期的に点検をすることで、磨き残しによる汚れは溜まっていないか、ちゃんと磨けていなければ生活習慣を振り返り是正するところは正す、それを繰り返すことにより安心して歯と上手に付き合って行けるのではないでしょうか。
車も定期点検をしっかり受けて長持ちさせて欲しいですね。
歯科医の仕事は、主に患者さんの痛みを取り除き、再び美味しく食べられるように治療することです。そして、治療後のお口の中の健康を維持する指導を行います。一昔前の歯科医は、この治療後の指導について、あまり積極的ではありませんでした。
日本は、戦後に導入された保険制度があります。国民が容易に医療サービスを受けることが出来る世界も羨む素晴らしい制度です。戦後、国民健康法が制定されて、虫歯に苦しむ多くの国民がこの保険制度を利用し激減しました。その時代から「虫歯は歯医者に行けば治る」というイメージは変わっていない様に思います。しかし、こうしたシンプルなプロセスが、虫歯について知らなくても良いという認識につながっているのではないでしょうか。
敵(虫歯)を知ることは非常に大切です。敵を知り病気になった原因を探ると、しっかりと治療に向き合うことが出来ます。治療内容がいくつかある中、自身で決定されることも大切で、治療が終わった後もセルフケアで維持させて行く必要がありますので、その為にも悪くなった部分についてしっかり説明をします。歯科医院に来られる多くの患者さんは緊張していますので、説明をしてもなかなか理解が出来ない状況ではあるかと思いますが、しっかりと認識して頂きたいというのが私の本音です。緊張をほぐしてあげるのも私たちの役目ではありますね。
日本の歯科医療は、トップレベルだと思われがちですが、実はそうではありません。私は海外の歯科学会に参加しており、日本の歯科医療技術の平均レベルは世界に追いついていないという現実を目の当たりにしています。
日本には確かに素晴らしい保険制度がありますが、今や日本の医療財政は逼迫していますので、保険内で出来る歯の治療に新しい技術を取り入れる余裕はありません。日本の歯科医療の平均的なレベルが上がって行かない理由のひとつはそこにありますが、日本人の歯に対する意識が向上しない理由もそこにあるのかも知れません。
歯科医の歯科医療への向き合い方は様々ですが、日本人の歯に対する意識を向上させるのも歯科医の大切な役目だと思います。
たけ歯科クリニック
院長
竹内孝興
1979年 神奈川県生まれ
2004年 日本大学歯学部卒業
2005年 亀田総合病院に研修
2015年 たけ歯科クリニック開院
趣味:サーフィン・ゴルフ
副院長を紹介します。
副院長
佐藤綾子
2004年 新潟大学歯学部卒業
2004年 千葉県内の歯科医院勤務
2016年〜たけ歯科クリニック勤務
趣味:野菜作り