歯の根の中には毛細血管や神経があり、これらを合わせて歯髄と言いますが、根管は歯髄が通る管の事で、歯を支える土台です。歯髄は、歯に栄養を送る重要な役割を果たしていますが、歯は成長すると歯髄がなくても歯の根の周辺からも栄養が補給されるので、歯髄を除去(抜髄)してしまった歯でも、根の治療をすることで、歯としての機能は維持されます。
根管治療は、虫歯が神経まで達した歯、神経が既に死んでいる歯、歯の根が炎症を起こし膿が溜まった場合に行います。虫歯が神経に達し、抜髄(神経を取る)をしないでMTAという処置をする場合もありますが、根管治療は、神経を取った後、根の中を洗浄、殺菌、消毒して神経があった穴を完全に封鎖します。
根管治療は、歯科治療で一般的な治療ですが、歯科治療の中でも最も難しい治療で、この治療が上手く行くか行かないかで歯の将来が大きく変わります。根管は直径1mm以下と非常に細く、状態や形も複雑です。精密な治療となるので、治療には高度な技術と経験が必要です。
これまでの根管治療は、レントゲンと計測機器などを使い、目視で行っていました。
直径1mm以下の管を目視で治療するということは、手探りで行うわけですから、どうしても根の内部に細菌が残ってしまいます。つまり、虫歯の再発率が高くなるわけです。
拡大鏡を用いる歯科医院もありますが、当医院では顕微鏡を使った根管治療を行っています。
下のグラフは、根管治療の治療費を他の国と比較したものです。日本の料金が他の国と比べて非常に低いことに注目して下さい。
他の国と治療費の差額がこれほどまでに大きいのは、日本の保険制度が充実しているからではありません。日本と他国の治療内容が全く異なるからです。日本の保険が適用される治療は肉眼で行う治療ですが、他国の治療は顕微鏡を使用しており、その他非常に有効な薬剤、材料などが使われています。
最もコストの高いアメリカは、日本の様な一律の保険制度はなく、ランクで加入します。根管治療は高度な技術が求められる為、治療費も高額でランクの高い保険に加入している人しか受けることが出来ません。それだけ根管治療は難しいということですが、先にも述べたように、十分な治療をしないと再発率が高くなりますので、当医院では自費による十分な根管治療を、再発時の負担を軽減させる方法としてお勧めしています。